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男性育休100%はなぜ達成できたのか?積水ハウス担当者インタビュー

男性の育休取得については様々な議論が巻き起こっていますが、そんな中、いち早く制度作りに取り組み、男性対象者の育休取得率100%を継続している積水ハウス株式会社。しかも、育休期間は1ヶ月というからビックリ。制度が充実してもなかなか取得が進まないと言われる中で、なぜこのような成果を出すことができているのでしょうか?この取り組みを進めるダイバーシティ推進部の森本泰弘さんに伺いました。

男性の育休取得については様々な議論が巻き起こっていますが、そんな中、いち早く制度作りに取り組み、男性対象者の育休取得率100%を継続している積水ハウス株式会社。しかも、育休期間は1ヶ月というからビックリ。制度が充実してもなかなか取得が進まないと言われる中で、なぜこのような成果を出すことができているのでしょうか?この取り組みを進めるダイバーシティ推進部の森本泰弘さんに伺いました。

制度導入前は不安でいっぱいだった

積水ハウスが2018年9月に導入した「イクメン休業」という制度は、3歳未満の子を持つ男性社員に1か月以上の育休取得を強く推奨するもの。最初の1か月を有給とし、条件を満たせば最大で4回の分割取得も認めています。また、賞与や昇給昇格に影響しないようにし、経済的な不安解消や取得しやすさにも配慮しています。

そんな充実した制度がうまれたきっかけは仲井嘉浩社長が海外IR(インベスター・リレーションズ)でスウェーデンのストックホルムを訪れた際、街中でベビーカーを押す人の多くが男性という光景を目にしたこと。帰国した仲井社長から男性が長期で育休を取得できる制度を作るよう指示を受けたダイバーシティ推進部のメンバーとして、森本さんはどう感じたのでしょうか?

「正直なところビックリしました。しかも最初の提案は『対象の男性社員全員が3ヶ月育休を取得できないか?』というものだったんです。その当時の男性社員の育休取得率は90%を超えていましたが、取得日数は平均2日だったので、そのギャップは大きかったです。とは言うものの、女性活躍の背景に男性の家事育児参画が必要であることも理解できるところ。そこから具体的に前に進めるためにいろいろ試行錯誤を繰り返しました。営業所や各部に、エース級の部下が育児のために休業を取得したとしても現場が回せるようにするために、どんな工夫ができるか?という質問をして、意見を聞いたり。できるだけ現場の声を聞きながら考えて、社長に『一ヶ月ならなんとかなりそうです』と伝えました。今となっては、素晴らしい取り組みだからこそ、社長に言われる前に自分たちで提案したかったという複雑な思いも湧き上がってきます」

「経営戦略」として男性の育休取得を促進したい

男性の育休取得に関しては、制度が整っていても、実際には取得が進まないというケースをメディアなどで目にすることがあります。しかし、積水ハウスでは100%取得を達成しています。いったいなぜそれが実現できたのでしょうか?

「トップダウンで進めることが出来ているからではないでしょうか。社長自身が前に出て語り、本気度や思いを社内外に発信していただいたことも大きかったと思います。しかも、男性の育休取得が、単純に『権利』としてあるものではなくて、働き方改革につなげるための『経営戦略』であることを伝えるのが大事だと考えていました。子どもが生まれた男性社員に『育休ありますよ、取得する権利がありますよ』と伝えても、実際には取得しにくい雰囲気があったり、忙しかったりと、そういう場合に『じゃあ、取りません』となってしまいます。しかし、家族の絆を深め、今以上に幸せになってほしいということを大前提として、イクメン休業を通じて職場の上司や仲間とコミュニケーションを深め、業務の棚卸やパフォーマンスの向上、協力体制や助け合いの精神などを醸成していくことが働き方改革につながる、だから全員が取得することが必要なんだ、という思いで取得を促進しています」

確かに「取ってもいいです」ではなくて「みんなで取ることが会社の成長に繋がります」という文脈は、全然印象が違いますよね。

課題は、休業の「質」をどう上げていくのか??

育休取得率100%を達成したところで、端から見るともう目的を完遂したように感じてしまいますが、さらにその先にこんな課題があるといいます。

「現状は会社側がしっかり取得促進をしていますが、近い将来、わざわざ取得促進をしなくても、子どもが生まれたら当然のように男性社員も育休を取ってくれるようになってくれるのが一番ですね。
もう一つは、育休を取得した男性社員がしっかりと家事育児に参画できているか?ですね。会社として男性が育休を取得する仕組みはつくったものの、いざ社員が休業に入った時に家族で家事や育児をシェアし、楽しさやしんどさも含めて、気づきや学びを得られているか?仕事のことを気にすることなく、しっかりと休めているか?といったところはこれからまだまだ改善の余地があると思っています。また、家事や育児については夫婦間のギャップもありますので、そのギャップをどう埋めていくかが家族の幸せに繋がっていくと考えると、イクメン休業の「質」を上げるためには次に何をすればいいかを常に考えています。例えば、家事や育児の仕方のコンテンツなどを得意とする企業とコラボするなどして何か提案するというのも面白いですね」

会社がそこまで家庭の心配をしてくれるとは・・・働いている側としてありがたいことですよね。

男性の育休取得がなかなか進まない中では、その入り口として目の前の数値目標を達成することに目が行きがちです。そんな中で、働き方の改革と社員の幸せという一歩先にあるものをトップが見据えて動いているというところがあるからこそ、積水ハウスは前進することを実現できていると感じます。今後は積水ハウスのやり方だけでなく、企業それぞれが特色に合わせた事例を作っていくことが男性を後押ししてくれることを期待したいですね。