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育休義務化では男性育児のモヤモヤを変えられない~働き方評論家 常見陽平さんインタビュー①

2019年の調査でも男性の育児休暇取得率はわずか6.16%でした。過去最高とはいえ、今年2020年までに13%にするという政府目標とは大きく開きがあります。そんな中で、議論が進むのが「男性の育休取得義務化」ですが、本当にこれが実現して男性の家事育児参画をとりまく環境は変わるのでしょうか??自身も共働きで、夫婦で力を合わせて2歳のお子さんを育てている千葉商科大学国際教養学部専任講師で、働き方評論家の常見陽平さんにお話しを伺いました。

2019年の調査でも男性の育児休暇取得率はわずか6.16%でした。過去最高とはいえ、今年2020年までに13%にするという政府目標とは大きく開きがあります。そんな中で、議論が進むのが「男性の育休取得義務化」ですが、本当にこれが実現して男性の家事育児参画をとりまく環境は変わるのでしょうか??自身も共働きで、夫婦で力を合わせて2歳のお子さんを育てている千葉商科大学国際教養学部専任講師で、働き方評論家の常見陽平さんにお話しを伺いました。

仕事か?育児か?どちらか一方しか取れないモヤモヤ

―常見さんは、2歳の娘さんを子育て中と伺いました。具体的にはどんな部分で関わっていますか?

子どもが産まれる前、妻が妊娠する前から家事はしています。料理はほぼ100%僕の担当です。今日は朝から「キンキの煮付け」を作りました。昨日、スーパーに行ったらびっくりするほどキンキが安くて。夜、仕事や会食があって不在の日も、料理を作り置きしておきます。料理の細やかさとか技術は妻の方が上だと思いますが、僕は買い物が好きだし、日々の料理に大切な企画力はある方だと思うので、僕がずっとやっています。

今は、家族みんなで過ごす時間はもちろん、僕が娘と二人でいる時間も増やすようにしています。その方が妻が休めると思うので。やっぱり子育ては支え合わないとやっていくことはできないと感じています。

-今のパパたち、子育て世代をとりまく環境は常見さんから見ていかがですか?

そもそも家事育児と仕事をどう両立するか?ということに悩む時代ですよね。わかりやすいロールモデルも少ないし、非常にモヤモヤすると思います。僕は職業柄、割と思い切って子育てをする方に舵を切ることができたけど、なかなかそういうわけにもいかないですよね。トレードオフ的な価値観で、片方を取ると、もう片方はガマンしないといけないというような。ましてや30代、40代は育ってきた環境の影響もあっていまだに性別役割分担意識も残っています。仕事の面で求められていることもとても多いし、自分たち自身も仕事をしないといけない意識が強い。実際に僕は子どもが産まれてから、優先順位を仕事から子育てに切り替えていますけど、もっと仕事がしたい、原稿に集中したいと思う時もまだあるんです。

今の育休義務化は数字作りになってしまう

―そのモヤモヤした状況を変えるためにも育休を義務化するということは必要だと感じますか?

持続可能な仕組みを作るためには、義務化には賛成できないですね。荒療治的にそのくらいしないと育休の取得率が伸びないという意見も聞かれますけど、やらないなら義務にするというのはちょっと乱暴ではないかと思います。そもそも、なぜ育休をとれないのか?という根本的な議論と総括が足りないように感じます。本来、目指すべきは育休を取らなくても子育てが出来るように休みやすかったり、柔軟に働ける環境だと思います。産後の一時を一緒に過ごすことも大事ですが、子育てはもっと先が長い。

今、もし義務化するとなると、育休が取れない理由についての議論が抜けてしまいそうな気がします。単純に会社からのやらされ感で出産直後に1、2週間だけ休む人が増えて、数字だけが上がる。でも実際は何も変わっていないということになる恐れがあると感じます。数字の面で言うと、女性でも2割が育休を取っていないという現状があったり、もっといろいろな面で注目しないといけないことがあります。

右肩上がりのキャリアから降りるモデルが必要

―では、どうしたら男性の家事育児参画は進むと思いますか?

意識改革をした方がいい、と言われることも多いですが、これもちょっと乱暴な言い方で、一つの考えを強要するところがありますよね。それに簡単には変えることなんてできない。仕組みが変われば意識が変わると言うこともあると思いますが、今は大企業から中小企業までがどうしたらいいか、模索していると思います。

だからこそ、今必要だと思うのは男性も含め“いったん競争から降りる”という働き方のモデルです。今までは仕事をしていくなかではずっと右肩上がりで出世したり、肩書が上がっていく一方でした。社内で出世競争をしているからこそ、例えば子育てをするためにいったん仕事をセーブするということをしていると、競争から置いてかれる、そして二度と追い付けないという心配があったと思います。

あえて自分から仕事を一度セーブしても戻ってこられるようなケースがないと、休めないと思います。育休もその一つだとは思います。それにこれは子育てをしている人だけのことではなくて、男性も女性も子どもがいてもいなくても、働き方や休み方を選べるようにしていくことが企業としても求められる姿だとは思いますが、エースクラスを休ませることはとても勇気が必要だと思うので、そこを実現できるかはなかなかハードルが高いとは思います。

男性の育児休業取得についてはまだまだこれから展開がありそうですが、少なくとも世のパパたちが家事や育児に関われるように前向きな展開をしてくれることを期待するしかなさそうですね・・・次回は常見さんが子育てで心がけている事について伺います。