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STOP虐待!親の体罰を禁止する法律が4月からスタート

虐待による痛ましいニュースを聞くと、本当に胸が締め付けられる思いになります。こういったことを無くすために、2020年4月から改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が施行され親をはじめとする親権者などの体罰が法律で禁止されました。今回の改正ではどのようなところが変わったのか?またこういった法改正が行われた背景について、認定子育てアドバイザーで厚生労働省の「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」委員をしている高祖常子さんに伺いました。

虐待による痛ましいニュースを聞くと、本当に胸が締め付けられる思いになります。こういったことを無くすために、2020年4月から改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が施行され親をはじめとする親権者などの体罰が法律で禁止されました。今回の改正ではどのようなところが変わったのか?またこういった法改正が行われた背景について、認定子育てアドバイザーで厚生労働省の「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」委員をしている高祖常子さんに伺いました。

日本に根強い「しつけのために体罰はやむを得ない」という風潮

日本では、児童相談所への児童虐待の相談対応件数は増加していて、虐待で亡くなっている子どもは年間で70~80人。そのうち3歳以下が8割ほどとなっていて、理由には泣き止まないことに対してのイライラや、思い通りにいかないときや言うことを聞かないときに「しつけのため」というものが多いです。
この「しつけのため」の体罰については、決して過去のことではありません。公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査(2018年)によると、しつけのために体罰は必要だと考えている親は6割いて、そのうち実際に手をあげた経験がある人も7割もいました。

このようにいまだしつけによる体罰が容認される風潮がある日本。その中で体罰禁止が法律に明記されたのはとても大きなことです。

世界的に見ると、スウェーデンが世界で初めて法律で体罰を禁止した国です。それが今から40年以上前になる1979年のこと。
今でこそ、子育て先進国として知られるスウェーデンですが、1960年代は9割がこどもに手をあげていたという調査結果があり、体罰をして育てるのが当たり前という文化でした。しかし、ある児童虐待死をきっかけに世論が変わり法制化。啓発活動を通じて30年くらいかけて体罰を容認する人は数%にまで減りました。また、こうした社会の変化により虐待死だけでなく、子どものいじめも減ったというデータがあります。威圧などではなくコミュニケーションでの問題解決を学ぶことで、子どもたち自身の関わり方も変わったということです。

叩かなくても体罰になる

厚生労働省が有識者を集めて検討を進め、2月にリリースしたガイドライン「体罰等によらない子育てのために」では、体罰の具体例も記載されています。

・言葉で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬を叩いた
・大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
・友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
・他人のものを取ったので、お尻を叩いた
・宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった
・掃除をしないので、雑巾を顔に押しつけた

これらは全て体罰です。

してはいけないことをした時に、子どもは言葉ではわからないから罰を与えようという発想をやめることが大切です。

また、他にもこんな具体例があります。

・冗談のつもりで、「お前なんか生まれてこなければよかった」など、 子どもの存在を否定するようなことを言った
・やる気を出させるという口実で、きょうだいを引き合いにしてけなした

怒鳴りつけたり、子どもの心を傷つけたりする暴言等も、子どもの健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性があります。子どもをけなしたり、辱めたり、笑いものにするような言動は、子どもの心を傷つける行為で子どもの権利を侵害します。
叩いたり、怒鳴ったりすることで行動を支配することは、恐怖心などにより子どもの行動をコントロールするものでしつけにはつながりません。
子どもの気持ちを尊重し、親子のコミュニケーションの中で問題行動などを解決していくことで、子ども同士や先生とのやり取りなど、社会での関係性においてもちゃんとやりとりできることに繋がります。

変わるべきは親だけではない

もうひとつ大切なことは、児童虐待は親だけの問題ではないということです。私がセミナーなどで子育て中の親たちから聞く話に、公共の場所で子どもが泣き止まない時に「甘やかしているからだ」と周囲から言われるケースがあります。

これは、体罰をすることがよかれと思ってきた時代に子育てをしてきた世代に多く見られる傾向。このような周囲の目が親を追い詰め、しつけ目的の体罰に繋がってしまうこともあると思います。

厚生労働省の「体罰等によらない子育てのために」の副題は「みんなで育児を支える社会に」。これは一般公募で決まったものです。体罰は法律で明文化された親などの親権者だけでなく、全ての人がしてはいけないことです。

また、気をつけて欲しいのは、虐待が起こらないようにみんなで監視しよう、ということではなく「みんなで育児を支えていこう」という考え方だということです。子どもを叩いている人を見かけると、どうしても咎めてしまいがちになるかもしれません。でも、親自身も困っているのです。「大変だよね」などの共感する声かけをすることでサポートしていきましょう。

今回、法律になったことはあくまでスタートです。
ここから誰もが体罰を決してしない文化を作っていきましょう。

■体罰等によらない子育てのために ~ みんなで育児を支える社会に ~
啓発ページ(厚生労働省)
ガイドライン(PDF)