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子どもはよーく見てるのです

緊急事態宣言の中、親子で長い時間を過ごした方も多いと思います。マンガ家で兼業主夫の劔樹人さんもその一人。一緒に過ごした娘さんの成長を見守る中で、改めて子どもってすごいと感じることがあったそうです。

緊急事態宣言の中、親子で長い時間を過ごした方も多いと思います。マンガ家で兼業主夫の劔樹人さんもその一人。一緒に過ごした娘さんの成長を見守る中で、改めて子どもってすごいと感じることがあったそうです。

3月の下旬から、保育園への登園を早めに自粛してきた我が家は、3ヶ月近く、3歳の娘と一日中家で過ごす日々を過ごしている。

当初は新型コロナウィルス感染への配慮から、娘を家から出すことは全くなかった。

しかし、しばらくして色々感染対策の情報が整ってきてからは、さすがにずっと引きこもりも良くないということで、昼下がりに1時間ほど、娘と近所を散歩するのを日課にしていた。

ちょうどコロナが来る前に、この春は公園で練習しようね、と、娘のために買ってあったキックボードがあった。

散歩がてら、ランニングコースのようになっている近所の遊歩道で、キックボードの練習をすると、ちょうどいい運動になる。

最初のうちはまっすぐ進むこともできなかった。

数メートル進んでは道の端にぶつかり…を繰り返しながら、遊歩道を少しずつ前進してゆく。
娘は足元ばかり見てしまうので、「いきたい方を見て!」「人が来てるよ!」などと声をかけ続ける。ちょっとしたコーチになった気分である。

しかし、10日ほど練習したら、娘は見違えるように上達していた。

もう、カーブも坂道もスイスイである。
歩くより早いので、ちょっと遠くまで行って帰ってくるのが日課になった。

その上達の早さもさることながら、驚いたのは子どもの目の良さである。

かなりのスピードで乗っているのに、落ちているものにしっかり気がついている。

娘にとっては、ほんの1時間外に出ただけで、発見に満ち溢れている。
キックボードのスピードと同じだけの早さで、世界が広がってゆくのだ。

自分も昔はこんな風に世の中が見えていたのだろうか。

そ、そうなの!?

嫌いなものなのに気になったら止まってしまう。
子どもだから。

新型コロナウィルスが流行したこの春の記憶は、娘の記憶にはあまり残らないだろう。
しかし、私は、ほんの少しの外出でこの子と過ごしたこの時間を、きっと忘れない。