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幸福学研究の大学教授に聞く!時代の大転換期を幸せに過ごすために大切なこと

幸せに暮らしたい、というのはみんな思っていること。じゃあ、どうしたらいいのでしょうか?実はそんな研究をしている方がいるのです。慶応大学システムデザイン・マネジメント研究科委員長で教授の前野隆司先生。今回は幸福学、感動学を専門とし、『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』『幸せのメカニズム』などの著者である前野先生が出演したオンライントークイベント『My Revolution2020~これからの「仕事」「家族」「自分」を描く7日間~』のレポートをお届けします。

幸せに暮らしたい、というのはみんな思っていること。じゃあ、どうしたらいいのでしょうか?実はそんな研究をしている方がいるのです。慶応大学システムデザイン・マネジメント研究科委員長で教授の前野隆司先生。今回は幸福学、感動学を専門とし、『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』『幸せのメカニズム』などの著者である前野先生が出演したオンライントークイベント『My Revolution2020~これからの「仕事」「家族」「自分」を描く7日間~』のレポートをお届けします。

研究でわかったことは、哲学者たちと同じだった

イベントは緊急事態宣言が明けた5月25日から7日間連続で開催。『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』などの著者でパパコミでも執筆している熊野英一さんがファシリテーターを務め、各界で活躍する識者をゲストに迎えて「withコロナ時代」の生き方を考えていくというものでした。

前野先生が出演したのはその初日。テーマは「幸せはどうする?」

イベント冒頭、熊野さんと前野先生は、そもそもどういう人が幸せを感じるのか?についてそれぞれの専門分野をもとに語り合います。

熊野「僕はアドラー心理学を研究しているのですが、アドラー心理学では幸せの三条件として『自己受容』『他者信頼』『他者貢献』と言っています。そのうえで前野先生の『幸福の4つの因子』を知ったときに、両者の親和性が高いな、と思いました。アドラー心理学っていうのは、もう古い古典的な学問で、アドラー自身、生誕150年で、おそらくそんなに科学的ではない説が、今、こうして時を経て、前野先生のような現代の先生たちによってデータをもとに裏付けられていったのかな、と思っています」

前野「アドラーやフロイトの頃の心理学は、心理学と呼ばれていますが、現代の学問分類でいうと哲学でした。頭の中で考えた末にアドラーは自分の説にたどり着いたわけです。ただし、現代の心理学は、おっしゃるとおり統計学に基づいていて、そうやって調べていくと、アドラーの言っていることとほぼ一致している、ということです」

実際、前野先生は、幸せに関するアンケートを行い、その結果を因子分析したというまさに統計学の手法で幸せについて研究しています。そして、幸せの心的要因を因子分析した結果、先ほど熊野さんが言っていた、人が幸せになるために大事な4つの因子、つまり「幸せの4つの因子」を明らかにしました。

新型コロナの影響で何が変わるのか?

新型コロナウイルスの影響で、働き方も暮らし方も今までとは変わってきています。そんな中で今、前野先生が感じていることとは?

前野「今回のコロナ騒動は想定外の事態ですよね。明治維新や戦後と同じのように、従来のやり方ではどうすればいいかを決められない事態です。その意味ではイノベーションが起こる条件に似ていて、従来型の方をやっていたのではうまくできない。なので、ゼロから新しいことをやっている人は変わるし、かたやコロナで立ちすくんでいて変われない人もいる、という二極化しているなぁと思っています。もちろん、二極化はあまりよくないことだと思います。

先日GWくらいに緊急アンケートをとったのですが『幸福度は変化しましたか?』という質問に40%ぐらいは『変化がない』と答えたのですが、他の40%ぐらいは『上がった』と答え、約20%が『下がった』と答えたのです。新型コロナはもちろん大変な面も多いのですが、統計的なデータとしてみると、幸福度が上がったと答えた人のほうが多いことがわかったのです。

なかでも、幸福度が上がった人は想定外の事態に適応していました。例えば、一気にリモートワークに舵を切った経営者など。ただ、一方ではいまだにハンコを押しに会社に行っている、という人もいるんですよね。これらを見ると、想定外の事態に適応した人と、適応せずに過ぎ去るのを待っている人とに分かれている、というのが私の印象ですね。

その結果として、このコロナ事態があけたとき、変わらなかった人はもとに戻るんだと思います。『ああ、よかったよかった』と言って、満員電車に乗って、効率の悪いはんこを押しに会社に行くという元の形に戻るのでしょうね」

熊野「先生が以前に書かれたものを読むと、幸福度が上がると生産性も上がる。生産性は通常の1.3倍、創造性は3倍になるとあります。そのうえで、今うかがったアンケート結果で40%が幸福度が上がったと答えたのであれば、今後、経済を含めていろいろなダメージは大きいだろうとされていますが、生産性や創造性は上がっていくという見通しなのでしょうか?」

前野「そうですね。わざわざ通勤するよりリモートワークしたり、オンラインをうまく利用すれば移動のコストはかかりませんしねぇ。ちゃんと想定外に適応した40%の人はどんどん効率化と創造性の向上につなげられるのではないでしょうかね」

どうすれば幸せになれるのか?

様々な変化に適応しなければいけない、ということはわかっていてもなかなか簡単にはできないものです。そういう中で特に変化が大きくなっている「働き方」と「子育て」について、幸せになるために今できることとはどんなことでしょうか?

前野「まず、仕事としては『ワクワクすることをやる』ということじゃないかと思いますね。特にサラリーマンって、ワクワクとか幸せとかのためじゃなくて、給料のために働いている、みたいなことになっちゃってますけど、やっぱり、すべての仕事はワクワクする面白いものであるべきだと思います。それが『やってみよう!因子』ですね。で、人間関係がしっかりとしていて、自分がやっている仕事の意味、俯瞰的な意味をきちんと捉えていれば、どんな仕事だってワクワクするものになりうると思うんですよ。『やらされ感』でやっているのではなく、主体的に、自分のやっているこの仕事が、社会のためになっているんだ、と俯瞰的に考えられればワクワクしますよね。この辺りは『ありがとう!因子』ですね。

子育ても一緒ですよね。ワクワクしながらした方がいい。『子育ては母親の仕事です』というのは古いし、母親が「辛いです」と言うのは、ちょっと心配ですね。やっぱり、父親と母親。ないしは当事者がちゃんと話し合うべきだと思います。仕事や家事、子育ての分担はいろいろあると思いますけど、その比率みたいなものはきちんと話し合って決めるべきです。

そういえば、家事の分担と幸福度を調べたら、夫婦の分担比率が五分五分のときが一番幸福度が高いという結果が出たんですよね。子育ても同じで、やっぱり、夫婦で、あるいは当事者みんなで、力を合わせてやらないといけないと思います」

最後に、私が今伝えたいメッセージは『一度きりの人生。自分のことばかりを考えるのではなく。世界のみんなの幸せを考えて生きませんか。世界中の生きとし生けるものが幸せでありますように』ということです。

やっぱり人生は一度きりじゃないですか。だからこそ、自分のことばっかり考えるんじゃなくて、家族のこと、社会のこと、世界のこと、みんなのことを考えて生きましょうよ、ということです。これをやらないと、やっぱり家庭レベルから国家レベルまでみんなが幸せになることはないんですよ。だから、仏教でもいわれますが『世界中の生きとし生けるものが幸せでありますように』という言葉が大事だと思います」

この変化の中では、自分や家族の事を考えることでいっぱいいっぱいになってしまうところですが、もっと大きく捉えてみんなが幸せになるためにはどうしたらいいかを考えることが大切なのですね。そしてもっとワクワクすることを見つける!大変な時でも幸せでいるためにも、ぜひワクワクしてきましょう!