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娘が自粛期間できるようになったもの、できなくなったもの

自粛期間があけて、世の中はいろいろな形で変化していますが、それは人も同じ。マンガ家で兼業主夫の劔樹人さんの娘さんにはどんな変化が訪れたのでしょうか?

自粛期間があけて、世の中はいろいろな形で変化していますが、それは人も同じ。マンガ家で兼業主夫の劔樹人さんの娘さんにはどんな変化が訪れたのでしょうか?

緊急事態宣言下の長い自粛が終わり、保育園が本格的に始まった。
家では、来る日も来る日もお絵かきをして過ごしていた3歳の娘。
その上達っぷりは目覚ましく、保育園で先生たちを驚かせている。

驚くのも無理はない。
自粛前、3月の時点での娘の画力はこの程度だった。

それが、今やこうなっているのである。

色の使い方も明確になっており、もう、何を描いているかがはっきりわかる。
パパを描くときは服を赤く塗る(私が毎日赤い服ばかり着ているので)。
おじいちゃんを描くときは眼鏡を描く。
ママには前髪を描かないが、自分は前髪を描く。

時には、好きなキャラクターに対して、ハッと驚くような観察力を垣間見せることもある。

ここまで来るには親にも苦労があった。
娘は自発的に絵を描いていたので、絵を練習させようとした苦労ではない。
私にしろ妻にしろ、親がリクエストに答えて描かされ続ける苦労である。

来る日も来る日もお絵かきしていたのは娘だけではなく、私と妻も同様だった。
もうどれだけの絵を描かせられたかわからない。

しかし今思えば、親が描いているところを見ることで、描き方の手法や、特徴の捉え方など、色々と勉強することができていたのだろう。

私も妻も絵を描く仕事をしているため、人から「こんなに絵が上手いのは、やっぱりお二人の遺伝なんですかね~」と言われることがある。

しかし娘の絵が上達しているのは、そういう先天的なものというよりむしろ、親がそこそこクオリティの高い絵を描いて見せ続けたせいじゃないかと思っている。
私はそこまででもないが、妻が描いてみせる絵は、どんな走り描きでもやっぱり上手だったからだ。

3歳。
これからどうなるかわからないが、夢中になるものがあることも、力がついていくことも、とてもありがたいのである。

しかし、絵が上手くなった代わりに、失ったものもある。

娘はこの自粛期間中に、2歳くらいから少しずつ覚えてきたひらがなをすっかり忘れ、10までの数字すら数えられなくなってしまったのであった。

成長のパラメータを、絵を描くことに全振りしているということなのだろうか。