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子どもは本当に母親の方が好きなのか?

男性が子育てをしていく中で、ぶつかりがちな壁のひとつが“ママの存在”。マンガ家で兼業主夫でもある劔樹人さんは、その壁に対してこんなことを感じたようです。

男性が子育てをしていく中で、ぶつかりがちな壁のひとつが“ママの存在”。マンガ家で兼業主夫でもある劔樹人さんは、その壁に対してこんなことを感じたようです。

以前に大学の後輩夫婦の家に遊びに行ったときのこと。

その夫婦には、4歳とまだ2ヶ月の子どもが二人。
友人たちが集まって談笑していると、バウンサーで寝ていた下の子が泣き出した。

しかし、父親の方は身動きひとつ取ろうとしない。
「何をやっているんだ」と尋ねると、「まだ小さくて触れないのだ」と言う。
そのうち、キッチンで作業をしていた母親がやってきた。

子どもたちは二人とも、母親の里帰り出産で生まれたという。
父親は東京で仕事をしていた。
戻ってきたのは上の子が3ヶ月後、下の子は1ヶ月後だったらしい。
そんなわけで、父親の方は、小さな子に触れたことがなくてどうしたらいいのかわからず、怖いのだそうだ。

さすがの私もこれには愕然として、もう彼を嫌いになりそうだったが、僕の大好きなアイドル“スマイレージ”の昔のサイン入りポスターをお土産でくれたので、一旦それは思い止まった。

子どもは母親が育てるものだと思っている男性はまだまだ多い。
そういう人はだいたい、子どもは本能的に母親の方が好きなのだと言い訳をするのである。

果たして、本当に生まれたばかりの子どもは母親の方が好きなのか?
それについて、母親より好かれたいという強い気持ちを持って娘に接してきた主夫である私の経験で言わせてもらうと・・・正直、なきにしもあらずという感覚もあった。

娘がまだ小さいうちは、私が何をしても泣き止まず、母親だとケロッとすることが時折あった。


とぼやくと、妻はこう言った。


それから少し経って。

2歳になった娘は、私のことも妻のこともどちらも同じように好きだ。
母親が夜から仕事に出かけても、そういうものだとわかっているので、素直にバイバイと見送る。

イヤイヤ期真っ只中だが、父親である私しかいなくても、母親しかいなくても、それが理由でぐずることはない。

私は思った。
「お腹にいた10ヶ月に、一緒にいる時間でついに追いついたのかもしれない」

“子どもは母親の方が好きだ”というのは、男が育児を他人事と思う言い訳であると思う。

むしろ10ヶ月、つわりやら重いお腹やら出産やらで苦労してくれたのだから、10ヶ月くらい父親も泣かれたり暴れられたり、大変な思いをすればいいのではないか。