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経営者に気づいてほしい子育ての大切さ〜サイボウズ 青野社長インタビュー【Part1】

昭和の高度成長期に培った終身雇用、年功序列という伝統から、平成を経て令和と進む中で、日本全体で進む働き方改革。とはいえ、なかなか男性の育休取得率が上がらないという現状もあります。そんな中、一部上場企業の経営者でありながら2010年に自ら育休宣言をしたことで一躍注目を集めたサイボウズ株式会社の青野慶久社長にお話を聞きました。
青野社長が育休を取ったことで気づいたこととはなんだったのでしょうか?

昭和の高度成長期に培った終身雇用、年功序列という伝統から、平成を経て令和と進む中で、日本全体で進む働き方改革。とはいえ、なかなか男性の育休取得率が上がらないという現状もあります。そんな中、一部上場企業の経営者でありながら2010年に自ら育休宣言をしたことで一躍注目を集めたサイボウズ株式会社の青野慶久社長にお話を聞きました。
青野社長が育休を取ったことで気づいたこととはなんだったのでしょうか?

パパスイッチはすぐに入ったわけじゃない

—育児に対して関心を持ったり、関わるようになることを「パパスイッチが入る」と言ったりしますが、青野さんのパパスイッチはどんなタイミングで入ったんでしょうか?
 
うーん、段階的に入った、という感じですね。もともとは“仕事大好き”な人間でいわゆる“ワーカホリック”というくらい働いていましたから。
 
ただ、長男が産まれたとき、素直に“かわいいな”って思ったことは間違いないです。
でも“かわいいからやりたい”という思いはあっても“できるだけ逃げたい”とも思ったのが正直なところ。大変ですからね。
 
その後、次男が産まれたのですが、体が弱かったこともあって、よりスイッチはグッと入って、さらに三人目が産まれて「ごめんなさいもう逃げようがないです」(笑)という感じでしたね。
 
ただ、家事育児スキルは低いです。(苦笑)3回育休を取った後の今も決して高いと言えません。

育休で気づいた3つのこと


 
—実際に育休を取って、新たな発見や青野さん自身が変化した部分はあったのでしょうか?
 
ありました。
 
まず子どもが産まれる前は、他の人の子どもを見てもかわいいと思ったことはありませんでしたし、みんながかわいいと言っているのを「意味が分からない」と思って見ていました。
 
ところが産まれたらかわいいと感じたんです。まずこれが気づきというか発見。
自分がこんなに子どもをかわいいと思ったこと、そしてその本能が自分に備わっていることにとにかくびっくりしました。
 
あとは、やっぱり育休取って、その大変さにもびっくりしました。確かに子どもはかわいいけど、世話をするとなるとまあ大変。何せ24時間365日休みなしですからね。これは仕事よりはるかに大変だと気づきました。
 
もう一つ気づいたのは、子育てすることの大事さ。
 
一人目の育休を取ったのは2週間だったんですけど、これが本当に辛かったんです。やること自体が大変なのはもちろんなんですが、離乳食を食べさせるのに30分もかかったりして、なんて効率が悪いんだと感じたり、この時間でもっと仕事ができるのにと感じたり、とにかく、今までやっていたように仕事ができないということで精神的にきました。
 
この時に、子育てについてたくさん考えたのですが、そこで気づいたことは、今苦労して育てているわが子は、大きくなったら働きにも出るし、モノを買って消費もする。つまりそういう子どもを育てるということは、ある意味“経済活動”をやっているんだ、と気づいたんです。
 
それまでは、商売と子育てはまったく別もので、むしろ“対立軸”にあると思っていましたけど、そうじゃなくて、むしろ“子育てがあるからこそ商売ができるんだ”と思ったんです。
 
そういう子育ての大事さに気づいたときに、これはやっぱり頑張らないといけない、商売人だったら子育てから逃げるというのはないなと感じたんです。

経営者こそ子育てしている人に「ありがとう」と言ったほうがいい


 
—育休を経験した青野さんから他の経営者に伝えたいことはどんなことですか?
 
まず、子育ては市場を創造しているということに気付いてほしい。
 
だからこそ経営者に言いたいことは、経営者こそ子育てから逃げてはいけないと思うのです。子育てをしない、つまり市場を作る努力をしていない人が、そのみんなが作った市場で商売をするのはちょっと違うのではないかと。
 
むしろ、子育てをすることで、市場を創造している人っていうのは商売をする経営者にとっては、そのベースを作ってくれているわけですから、そこは徹底的に援護しないといけないと思います。
 
だからこそ経営者がコミットしよう!
 
それが一番言いたいことです。
 
今はまだ「子育てで抜けられたら困る」と思う経営者が多いと思いますが、そこは「困る」ではなくて「ありがとう」ではないか。「あなたが育ててくれているから今日も商売ができるよ」そして「できたらもっとたくさん育てておいて」と(笑)。こういうコミュニケーションをしないといけないですよね。
 
いろいろな理由で多くの経営者は、子育てをやったことがないから気づいていないんだと思います。きっとやってみたらわかるんじゃないでしょうか。
 

“3回育休を取った”と聞くと、以前から子どもが大好きな方なのかと感じるかもしれませんが、実際は違って、むしろ苦手だったというからびっくり。しかし、やむを得ずとはいえ、子育てにかかわったことで、こんなにもたくさんの気づきを得て、変わることもできるのですね。次回は青野社長のちょっと変わった育休の取り方について紹介します!!
 
<青野慶久>
1971年愛媛県今治市生まれ、松下電工に勤務したのち、1997年にグループウェアの開発・販売・運用をするサイボウズ株式会社の創業に関わる。
2005年より代表取締役社長に就任。2010年長男が6か月の時に一部上場企業の社長でありながら、育休宣言をしたことが話題に。現在は妻とともに三人の子育てに奮闘しながら実業家として活躍中。
https://cybozu.co.jp/