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この世に悪天候はない!?イクメン大国スウェーデンの子育て事情

男性の育児休暇取得率が9割を越え、イクメン大国として知られる北欧のスウェーデン。社会保障などが充実していて子育てをしやすいことでも知られています。では、そんなスウェーデンの子育ては日本とどう違うのでしょうか?今回はスウェーデン在住14年で2人の男の子を子育てしている、北欧雑貨のオンラインショップ『SOPIVAソピバ北欧』の店長、ダールマン容子さんにお話を伺いました。

男性の育児休暇取得率が9割を越え、イクメン大国として知られる北欧のスウェーデン。社会保障などが充実していて子育てをしやすいことでも知られています。では、そんなスウェーデンの子育ては日本とどう違うのでしょうか?今回はスウェーデン在住14年で2人の男の子を子育てしている、北欧雑貨のオンラインショップ『SOPIVAソピバ北欧』の店長、ダールマン容子さんにお話を伺いました。

5:1の原則

スウェーデンで子育てをして一番感じることは、とにかく子どもを一人の人間として尊重することを大事にしていて、また、性別や年齢、身体的な特徴など差別的なことは全く感じず、多様性を認めることが自然にできている社会だと感じます。

保育士や教師、親も見た目をほめませんし、コメントもしません。また、結果やできることをほめません。絵が上手い、早く走れるなどはほめず、ただ事実として認めます。例えば、「たくさんの色を使って書いたね」「10秒で走れたね」という感じです。または「絵が好きなんだね」などとコメントします。子ども同士を比較することもなく、何ができるか、何をしたかは関係なく手放しで子どもをほめることが基本なのです。

スウェーデンには「5:1の原則」というものがあります。これはポジティブなコメント5に対しネガティブなコメント1くらいの割合を心がけるという考え方です。失敗を注意するときは、成功したことをほめてから注意します。その方が本人も失敗を受け入れやすいので。

叱る時は、その子の人格ではなく、やった事をその場で注意して、長引かせないようにします。声のかけ方としては「○○をしちゃダメ」というのではなく「パパは/ママは○○をして欲しくない」といいます。

世界に先駆けて1979年に体罰禁止を法律化したスウェーデンでは「叩かない育児」があたりまえです。腕を引っ張ったり、声を荒げて脅すだけでも虐待になることもあります。とにかくとことん話し合う、説得するというスタンス。怒鳴ったりして、無理強いはしません。

氷点下でもベビーカーは外!?

私が暮らすストックホルムは緯度が高いので、冬になると午前10時くらい午後2時くらいまでしか太陽が昇らなくて気温もかなり低くなります。だいたい日中でマイナス5度くらい。ものすごい寒い日はマイナス20度とかマイナス30度になることもありますが、それは滅多にありません。

そんな寒いスウェーデンの子育てできっと日本の人たちが驚くだろうと思うのは、そんな氷点下になっているときでも、赤ちゃんが寝ていたらそのままベビーカーを屋外に置いて、ママやパパは屋内でお茶を飲んだりしています。(さすがにマイナス20度とかそういうときはしませんが)

なぜそんなことができるのかというと、やはり寒い国なので、まず防寒アイテムの機能が充実しています。赤ちゃんがベビーカーで眠っていて、快適でいるならば、大丈夫!と思っています。また、新生児のうちに冷たい空気を吸うと呼吸器が強くなるとも言われているので、むしろいいことだと考えているくらいです。

そんなスウェーデンですから、日本に比べたらかなり放任的。移住してきた日本人の親の多くは少なからず「本当に大丈夫??」と思うこともあるでしょう。

多少のケガは誰も気にしません。転ぶ、落ちる、泣くことは、命の危険がない限りOKという前提で育児をしています。大きな石に上ったり木に登ったり高いところから飛び降りたり。でこぼこの森の道を走ったり。リスクを経験しながら、身体のバランスを身に着けていくという考え方なんですね。風邪をひいても寝てれば大丈夫、という感覚もあります。ちょっとビックリしたのは、外の公園で赤ちゃんや子どもが土を食べちゃったりしても「少量なら別に大丈夫」という何事もなかったようにしています。

この世に悪天候はない

こういった感覚は保育園でも同じです。もちろん命に関わるようなことがないように保育士さんたちは気をつけていますが、かなり自由に遊ばせます。

また雨の日だろうと必ず外で遊びます。

「この世に悪天候はない。あるのは不適切な服装だけ」という文化なのです。だから雨天中止という考えはなく、雨が降っていれば雨対応の服を着て外で遊べばいいと考えています。

以前、「なんで雨の日に外に行くの?」と移住してきた日本人の保護者が保育園の先生に聞いたら「行きたくないのはあなたの都合でしょ?」と答えられたそうです。雨でも寒くても、きちんと防寒防水の服を着ていけば、外でも楽しく遊べるという考えです。なので、防寒アイテム同様、レインアイテムもものすごく充実していて、本当に濡れません。これはすごいと思います。

ガマンするのではなく、どうしたらいいか工夫をするという考えは子どもの食事でも同じです。

保育園、学校の給食でも、家庭の食事でも「出されたものを全て食べる」必要はありません。(ただし、食品ロスを減らすため自分で皿にとった分は食べきるよう教育します)。好き嫌いを責めるようなことはないのです。親は、子どもに「苦手なものを頑張って食べる」教育をするのではなく、どうやったらおいしく食べられるかを考えて工夫するように考えます。

食事の時間は楽しいものであることが重要とされていて、苦手なものを食べることや食べ終わるまで遊んではいけない等の制限を設けることはほとんど聞かないですね。

ただ、そのせいかどうかはわかりませんが、スウェーデン人の子どもは好き嫌いが激しいように感じますね。

ちなみに、保育園で出るフルーツのリンゴや洋ナシは皮をむかずに丸ごと渡します。3歳児などでも皮つき種ありのリンゴをワイルドに丸かじりしている姿は面白いですよ。

スウェーデンでは「子育ての目的は子どもが自分の得意を生かして幸せに生きる道を見つけること」という考えが基本にあるので、親が子どもを矯正するのではなく、子ども自身の考えや得意な物をとことん尊重します。だからこそ、日本と比べるとだいぶゆるいと感じることもあると思いますが、それによってのびのび育つ環境にもなっていると思います。それがスウェーデンらしさなのかもしれませんね。