• 特集
  • インタビュー

パパが息子に作った461個のお弁当は大変じゃなかった!?~TOKYO No.1 SOUL SET 渡辺俊美さんインタビュー~

我が子のためとはいえ毎日お弁当を作るのはとても大変なこと。いったいどういう思いがあれば、作り続けていくことができるのでしょうか?今回はシングルファーザーとして高校生の息子のために3年間お弁当を作り続けた『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス)の著者でもあるTOKYO No.1 SOUL SETのギター・ボーカル、渡辺俊美さんにお弁当作りを支えたものや、お弁当の魅力についてお話を聞きました。

我が子のためとはいえ毎日お弁当を作るのはとても大変なこと。いったいどういう思いがあれば、作り続けていくことができるのでしょうか?今回はシングルファーザーとして高校生の息子のために3年間お弁当を作り続けた『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス)の著者でもあるTOKYO No.1 SOUL SETのギター・ボーカル、渡辺俊美さんにお弁当作りを支えたものや、お弁当の魅力についてお話を聞きました。

息子を守りたいという一心

一人息子が中学生の頃に離婚し、シングルファーザーとなった俊美さん。その後、高校に入るタイミングで「パパのお弁当がいい」という提案を受けて、毎日作ることを約束し、3年間欠かすことなく卒業まで、461個のお弁当を作り続けました。お弁当作りを続けることは簡単なことではありませんが、俊美さんを支えていたのはどんな思いだったのでしょうか?

「お弁当を作り始めたのは2011年4月のことでした。ちょうど東日本大震災があった直後で、故郷の福島が被災したこともあって、大きなショックを受けていました。同時に家族の大切さなどを痛感していたタイミングで、息子からの提案。息子を守るために何ができるかと考えていたところだったので、自分はお弁当で息子を支えようと思ったことが大きかったです。

その時は、とても必死だったので、そこまで大変だとは思っていませんでした。確かにライブなどがあって打ち上げまで行った時は、朝からお弁当を作るのがしんどかったですけど(笑)。

あとから感じたことですが、実はお弁当を作ることで、ストレス解消にもなっていて、しかも息子とのコミュニケーションにもなっていたんですよね。今日はちゃんと食べてくれたから元気だとか、残っているから何かあったのかなとか、反対に息子からダイエットするから減らしてほしいとか。息子と接することで癒される部分も大きかったので、結果的に自分自身が震災のショックから少しずつ立ち直ることにも繋がっていたと思います。

3年間続けられた理由をよく聞かれるのですが、一言で言えば『達成感』だと思います。やっぱり作ったお弁当をちゃんと食べてくれると、そこには達成感があります。どんなに失敗しても食べてくれれば、また作ろうという気になる。その失敗を重ねているうちにお弁当作りも上達していきましたね」

お弁当は準備が全て

3年間、お弁当を作り続けていく中で、俊美さんが感じたお弁当作りの楽しさとはどんなものだったのでしょうか?

「そもそも僕は準備が好きなタイプ。ずっと音楽をやってきましたけど、ライブもそうです。本番を迎えるまで、ああでもないこうでもないと試行錯誤をして準備をしているのが、とても楽しいと感じるんです。だいたい、ライブ当日を迎えると、あとはもうどうにかなるかなと力が抜けちゃう(笑)。キャンプも準備しているときが一番楽しいし、車も買うまでがワクワクして楽しい。そういうタイプなんですよね。

お弁当作りにも通じるものがあると思います。スーパーで買ってきた豚肉を1枚1枚ラップに包んで冷凍したり、日々準備をするわけです。もうその時から、こうやったらスムーズにできるかなとか、これを作ったら絶対に喜ぶだろうなとか、もうワクワクするんです。きっとそういう段取りとか準備が楽しかったから、あんまり大変だったという思い出がないんでしょうね。

それと、もうひとつ。僕は誰かが喜んでくれるということが好きなんです。

ミュージシャンになったのも、それが大きな理由。小学生の頃、街ののど自慢大会で優勝して、周りがものすごく喜んでくれたことがきっかけで、ギターを始めました。お弁当作りも、息子に喜んでもらうために始めたもの。そう考えてみたら僕はそもそもお弁当作りに向いていたのかもしれませんね」

新しいステージ!娘のお弁当はワケが違う!?

俊美さんは息子さんが独り立ちしたあと、再婚。現在は年長の娘さんと3歳の息子さんを子育て中です。そして現在は、娘さんの幼稚園のお弁当作りをしているといいますが、戸惑うことも多いそうです。

「もう、娘からの注文の多さにはビックリしますよ(笑)。しかも、オーダーがすごく具体的。息子は何でも食べてくれたし、作る前に何を入れるか話したことはほとんどなかったです。でも、今は前の晩から献立の相談をしています。それがコミュニケーションになるし、成長も感じるのでとても大切な時間ですが(苦笑)。

さらに今回は妻もいます。これもだいぶ違いますよね。息子の時は、シングルだったので息子だけが喜べば良かったけど、今回は娘が喜ぶだけじゃなく、妻も喜ばないといけません。むしろ妻が喜べば、娘も喜ぶので、妻の方が大事かな(笑)。

そもそも娘のお弁当を作り始めたのも妻のためでした。小さい子ども二人を育てていると、やっぱり朝はすごく忙しい。そういう姿を見て、少しでも助けたい、だからお弁当を作ろうと思ったんです」

自分が「やりたいから」作るのではない

最後に、これからお弁当を作ってみようかと考えているパパに向けて、俊美さんにアドバイスを聞きました。

「再婚したからわかったことですが、やっぱりまずは妻のことを考えることですね。それができなかったから一回離婚したのかもしれません(苦笑)。

お弁当作りも、自分がやりたいからやるのではなく、妻を助けたい、休んでほしいという愛情からやることが大事。最初は妻に対して『作っていい?』とプレゼンするところからはじめるといいと思います。

また、最初から完璧を求めると心が折れてしまうので、ちょっとゆるく構えておくといいと思います。たくさん失敗しましょう。失敗しないと上達はしないと思います。大丈夫、頑張って作れば、きっと食べてくれます。そしてそれが次に繋がりますから。あまり肩に力を入れずにはじめてみてほしいなと思います」

自身の離婚も含めたデリケートな内容にもかかわらず、終始穏やかに淡々と話してくれた俊美さん。その広い心こそ、お弁当を通じてたくさんの人を笑顔にしている、俊美さんの魅力なのかもしれません。

2016年に出版された息子さんへのお弁当をまとめたエッセイ『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』は、今年映画にもなりました!気になった方は、ぜひチェックしてみてください。

「461個のおべんとう」公式サイト