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実は家事が苦手!?「いい育児の日」に知りたいイクメン大国スウェーデンのリアル

11月19日は「いい育児の日」ですが、日本ではまだまだ家事育児に踏み出せない男性も多いようです。いったいどうしたら、もっと多くの男性が家事育児に参画できるようになるのでしょうか?そのヒントを探るために、男性の育児休暇取得率が9割を越えるイクメン大国、スウェーデンに住んで14年、2人の男の子を子育てしている、北欧雑貨のオンラインショップ『SOPIVAソピバ北欧』の店長、ダールマン容子さんにお話を伺いました。

11月19日は「いい育児の日」ですが、日本ではまだまだ家事育児に踏み出せない男性も多いようです。いったいどうしたら、もっと多くの男性が家事育児に参画できるようになるのでしょうか?そのヒントを探るために、男性の育児休暇取得率が9割を越えるイクメン大国、スウェーデンに住んで14年、2人の男の子を子育てしている、北欧雑貨のオンラインショップ『SOPIVAソピバ北欧』の店長、ダールマン容子さんにお話を伺いました。

男性にも子育てをする権利がある

世界的に見ても育休の取得率が高いスウェーデン。実際に私が知る限りでは全員が取得していて、むしろ男性が育休を取らないと言ったら、「どうしたんだ!」と家庭も職場もザワつくような雰囲気があります。

スウェーデンの育休制度は、パートナーの男性と女性が、合計で480日の育休を取得することができて、しかも、その中には、男性しかとれない日数が90日あるんです。また、お金の面では、480日のうち390日は給与の80%が保証され、残りの90日は定額給付という手厚い制度になっています。今でこそイクメン大国と呼ばれるスウェーデンですが、1970年代まではわずか5%程度でした。しかし、制度が充実していく中で、ここまで変わってきたのです。

多くの男性が育休を取ることとなった理由は制度の充実だけではないと感じています。よく日本人は「みんなやってるよ」という言葉に弱い、というか影響を受けやすいと言いますが、実はスウェーデンの人たちも、そういう国民性があります。海外の人は個人主義で、それぞれの主張が強いようなイメージがあるかもしれませんが、スウェーデンは少し違って、和を大切にするところがあり、協力して一緒に何かをすることを大事にする傾向があります。中には「ヨーロッパの中で最も日本に近い感覚の国」と表現する人もいます。だからこそ、周りがみんな育休を取っているなら、自分も取ろうと思った人も少なくないはずです。

また、夫にハッとさせられたのは「男性にも育児をする権利がある」という言葉を聞いたときです。日本もそうですが、子どもが産まれたら育児することを「義務」だと捉えられるケースがほとんどだと思います。しかし、夫や他の男性から「自分の子どもなんだから、ちゃんと関わって一緒に育てる権利もあるでしょ」と言われ、そういう考え方もあるのかと思いました。子どもが産まれる時点で彼らはしっかり自分事として捉えているんです。そこは日本とちょっと違うところかもしれませんね。

イクメンだからといって家事育児が得意なわけじゃない

家事や育児をする人のことをイクメンというのであれば、確かにスウェーデンのパパは、ほぼ全員イクメンだと思います。ただ、だからといって上手なわけではありません。

我が家の夫も育休を取っていましたが、ぎゃーぎゃー泣き叫ぶ赤ちゃんにお手上げになることもしばしばあったし、おむつ替えにてこずって、ウンチまみれになってしまうこともありました。赤ちゃんを見ながら、上手に時間を利用しておいしくて栄養バランスの取れた食事を作ることもできませんし、赤ちゃんが寝ている間に、ササっと洗濯をしたり、掃除機をかけたりしてくれるのかといえば、残念ながらそうではありませんでした。

考えてみれば女性にも同じ事が言えますが、全ての人が得意ということではないのです。それでも家事や育児をやることが当たり前だと思っているので、やります。スウェーデンの女性には「夫がやる家事や育児には、絶対に口も手も出さない」という暗黙のルールがあるのですが、それはきっと、クオリティではなく、やってくれればそれでOKという感じなんだと思います。

ちなみに、日本人であり、日本で暮らした方が長い私から見ると、男女を問わず日本の家事育児で求められるレベルは、スウェーデンに比べてものすごく高いと思います。特に食事に対しては高い。日本ではできる限り毎日手作りしようと考える人が多いと思いますが、スウェーデンでは男性だろうが女性だろうが、平日の半分くらいは冷凍食品や出来合いのモノでササッと済ませてしまうことが多いです。

そうなると、食の安全性が気になるという人もいるかもしれません。しかし、スウェーデンでは販売する食品の安全性に対して、とても厳しい基準があります。なので、一般的なスーパーなどで買ったモノに対して、安全性で心配することはほとんどありません。そういう意味では国が守ってくれているという安心感は大きいです。

根底にあるのは「比べない」「評価しない」文化

先日、ちょうど育休からあけたばかりの男性と会う機会があったのですが、そこで彼が「育休が終わって本当にホッとした!もう嫌!ちょっと育児から離れたい!」と大きな声で言っていたので、思わず笑ってしまいました。きっと、イクメン大国スウェーデンでそんなことを言う人がいるなんて、日本の方は想像もしていないだろうと思って。

しかし、これこそがスウェーデンを象徴しているように感じます。もし、日本で同じ事を言ったら周りの人から「そんなこと言うもんじゃないよ」とか「子どもがかわいそう」と言われてしまうのではないでしょうか?それが怖いので、その発言もできませんよね。

しかし、スウェーデンでは、「嫌だ」「疲れた」「大変だ」「しんどい」といった話をしても、誰かに咎められることはありません。子どものころから、どっちの方がいい、何ができる人がえらい、と比べるようなことや、結果ばかりを評価するようなこともありません。心理的安全が確保されているから、弱音を吐くことができるのです。

だからこそ、家事や育児が特別に得意じゃなくてもできます。日本だと、うまくできないとダメというプレッシャーが大きくて、苦手な人や、今までやっていなかった人が、踏み出すのを躊躇してしまうのではないかと感じます。もしかしたら、そういう背景が変わっていくことで日本の男性の育休取得率は変わっていくのかもしれませんね。