
体に痛がゆい発疹が帯状にできる「帯状疱疹」。かつては大人がかかる病気だと言われていましたが、最近は子どもがかかるケースが増えているといいます。今回は『祖父母手帳』や『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』の著者で小児科専門医の森戸やすみさんに、「帯状疱疹」についていろいろと教えていただきました。
帯状疱疹は、水痘(水疱瘡)・帯状疱疹ウイルスによる感染症。つまり、水疱瘡と同じウイルスが原因です。基本的には、一度、水疱瘡にかかった人には、治った後でも神経細胞にウイルスが潜んでいて、体の抵抗力や免疫力が低下した時に、再活性化して症状が出てくるというものです。
かつては、「子どもは帯状疱疹にならない」「一度帯状疱疹になったら二度とならない」と言われてきましたが、そんなことはなく、子どもでも帯状疱疹になるケースがありますし、何度もなる可能性はあります。
水疱瘡にかかった記憶はないけど、帯状疱疹になったというケースや、子どもでいきなり水疱瘡ではなく帯状疱疹になったというケースもあります。原因はいくつか考えられますが、水疱瘡にかかったものの、非常に軽度だったために気づかなかったり、感染したけど発疹が出なかったりする場合もあります。
体に発疹が出て、かゆみを伴う病気は他にもありますが、帯状疱疹の特徴はその名の通り、帯状に発疹が出ることです。これは、潜んでいる神経の中で再活性化するためで、通っている神経に沿って出てくるためです。胸やお腹では横に広がり、腕や足では縦に広がります。また、発疹がかゆいだけでなく、ピリピリとした痛みを伴うことも特徴なので、痛いと感じたら帯状疱疹の可能性があります。
また、症状が出るのは左右どちらかだけのケースがほとんどです。もしも左右対称に同じような症状が出る場合は、アトピー性皮膚炎の疑いがあると考えられます。また、水疱瘡の場合は帯状ではなく、全身の至る所に出ます。蕁麻疹もまた帯状に出ることはなく、円形や地図状になることが多いです。
もしも帯状疱疹になったら、できるだけ早く医療機関を受診して、処方された抗ウイルス薬を飲めば治ります。(点滴もあります)ただ、治療が遅れた場合、帯状疱疹後神経痛という激しい痛みを伴う神経痛になる場合がありますので、早めの治療を心がけてください。ただし、帯状疱疹後神経痛は中高年に多いので、子どもの場合はそれほど心配しなくても大丈夫です。
また、水疱瘡や帯状疱疹にかかったことがあり免疫がある人にはうつりません。ただし、免疫がない人にはうつり、水疱瘡として発症します。水疱瘡は空気感染するもので、感染力が強いため、免疫がない人には非常にうつりやすいです。
ただし、ワクチンがありますので予防接種で感染を防ぐことはできます。
現在、水疱瘡の予防接種は子どもの定期接種のひとつとなっていますが、大人の中にはこの予防接種を打っていない、水疱瘡にかかったことがない、もしくはかかったかどうかわからないという人がいると思います。
心配な場合は、大人になってからでもワクチンを接種することをオススメします。もし免疫があった場合でも、ワクチン接種をしたことで問題が起こることはありません。
改めて、帯状に発疹が出て、痛みを伴っていたら帯状疱疹の疑いがあります。できるだけ早く医療機関を受診して、抗ウイルス薬を処方してもらってください。